第1話 @賢者のための投資
仙台マスターズ倶楽部の賢者であるみなさまに金融リテラシーを高めていただくために
虎の子の資産をいかに守り、増やせばいいのか、株式、投資信託、保険、不動産の資産運用で 成功するための秘訣を、橘玲氏の「臆病者のための億万長者入門」の著書から、その極意に ついて何回かに分けて紹介したいと思います。(著書の宣伝になることですので、著作権の問題はないと思います)
第1話 金融業界の不都合な真実
初回は「金融業界にプロはいるのか?」という話題です。
この問いで私たちは「金融業界の不都合な真実」を知ることになります。
金融のプロと言われる人とは?
ここで思い浮かべるのが、160万円を元手に株式投資を始め。5年間で100億円を超える資産を築いた20代の投資家です。報道によればこの男性は、大学時代に株式トレードに興味を持つ ようになったものの、株価収益率(PER)とか株価純資産倍率(PBR)など株式投資に必須と される知識になんの興味もなく、投資した会社が何をしているのかもよく知らないという。
金融の世界で「投資のプロ」と呼ばれるのはファンドマネージャーで、彼らは投資家から資金を預かり、最先端の金融知識を駆使して運用しているが(ことになっている)、その成績は株式 市場の日経平均(インデックス)をどれだけ上回ったかで評価され、5年にわたって年率10%で運用できれば、『辣腕』などと呼ばれてあちこちのマネー雑誌に登場します。
残念ながら、ほとんどの金融のプロと言われるファンドマネージャーは、日経平均を超えることなく、多くのファンドマネージャーは日経平均以下のパフォーマンス甘んじています。 (これまでの様々な調査データから明らかになっています)
それに対して、株式投資の基礎知識が全くない若者の運用利回りは年率900%(!)だ。
運用成績がこれほど桁違いだとどんな言い訳も通用しません。金融の世界では、ど素人がプロを完璧なでに叩きのめすことができるのです。
プロ(?)と呼ばれる人の豊富な金融知識と成果はあまり深い相関がないようです。
これは経済学者をはじめ金融。為替の専門家と言われる人の1年後の株価や為替の予想が外れるという事実もこのことを裏ずけるものでしょう。
この単純な事実は、株式投資は将棋よりも宝くじにずっと近いことを教えてくれます。株式投資は必勝法のない確率のゲーム、すなわちギャンブルなのです。これは極めて単純明快な話だと思うのですが、同じようなことを述べる人はほとんどいません。
どんな業界にも、「それをいったらおしまい」ということがあります。ある程度の年齢になれば誰でも学ぶことですが「不都合な真実」を言い立てる人はいつの間にか排除され消えていく。
ついでに、株式投資とは無関係ですが、金融リテラシー感度を上げていただくために不都合な 真実をもうひとつ紹介しておきます。
宝くじを買う人は資産運用に成功できない
金融リテラシーがあるかどうかを見分けるもっとも簡単な方法が宝くじです。
ジャンボ宝くじの一等と前後賞を合わせた金額がこれまでの6億円から7億円に引き上げられ 庶民の夢が大きくなりました。
ジャンボ宝くじは1ユニット1000万枚(桁が大きくなると思考停止)で1等5億円は1ユニットに1枚、前後賞は2枚だ。ほとんど連番で買うと思いますが、1等と前後賞はセットではないから7億円が当たる確率は1000万分の1を下回る。確率を知る人は「これは、まず当たらない」と判断するレベルです。
100円の購入代金のうち平均していくら賞金として払い戻されるかが宝くじの期待値(還元率)でジャンボ宝くじでは49.66円しかありません。賞金は半分だけで、残り半分は経費を差し引いたうえで地方自治体に分配されます。
ちなみに他のギャンブルの期待値(還元率)は、パチンコ85%、競馬70%-80%、競輪・競艇は70%といかに宝くじの還元率がいかに低いかわかります。
金融庁は金融法で、株式やファンドなど販売する事業者に対して、顧客保護の原則に立って
きびしい義務を課しています。金融商品を販売する際は、過度に射幸心を煽らず、顧客に正確な情報を提供し、冷静で客観的な判断ができるようにしなければならない。とりわけ投資のリスクを説明することと、顧客に不利な情報、すなわち金融商品のコストを明示することが強調されているのです。
宝くじの商品特性を金融法の理念の照らすと、券面にリスクとコストを次のような文面ではっきりと書く必要があります。「宝くじの購入にはリスクがあります。1等の当選確率は1000万分の1で、宝くじを毎回3万円分、0歳から100年間購入したとしても、99.9%の購入者は当選することはありません」。
「宝くじには、購入代金に対して50%の手数料がかかります。宝くじの購入者は、平均して購入代金の半額を失うことになります」。宝くじが、「愚か者に課せられた税金」と呼ばれる所以です。
勿論、購入しなければ当選はありません。宝くじは夢を購入する行為、はずれても地方自治体への納税と考える方にとっては、立派な社会貢献ですね。
今回は金融リテラシーについての前振で、次回から、資産運用に踏み込んだ内容について紹介 していきます。