投稿者:工藤 三四郎

長崎佐世保に店を構えた一介のカメラ屋さんを、その傑出した営業トークで「ジャパネット・
タカタ」と誰もが知る通販ブランドへと導いた成功の「技」を学びたいと思います。
TVショッピングでジャパネットの社長があのカン高い声で顧客に呼びかけるように
商品説明をする姿を記憶されている方も多いと思います。
その話術に隠された巧みな「技」は営業マンのみならず様々なビジネスシーンにおいて業種を
問わず学ぶべき点があるように思います。残念ながら現在は現役を退き、あのカン高い声を
聞くことはできません。
マーケティングでよく、「お客はドリルが欲しいのではなく穴が欲しくてドリルを買う」という言い方をします。高田さんは、マーケティングのこの原則をTV通販の現場で実践し成功した方だと考えています。

例えば私がヨドバシにデジタルカメラを買いに行ったとしましょう。
すると店員さんは、このカメラは「1000画素のイメージセンサーが搭載」「手振れ防止付」
「20倍ズーム付」「広角レンズ採用」「遠くから近くまで撮れる」といった商品の特徴、
特にスッペクを良さを一生懸命説明しますよね。これは店員さんが、深い商品知識で顧客にその良さを伝えることが売るための武器だと考えているからだです。
これがドリルを売るという典型的なメーカー、販売店視点の売り方です。

これに対し高田さんの場合、もしお子様を持っている家庭をターゲットに売ろうとすれば、
例えばこんな具合です。
「奥様もうすぐ運動会ですよね!」「その運動会で自分のお子様が活躍するシーンを残しておきたいと思いますよね」「それならこのカメラがオススメです!」「1000万画素のセンサーですからお子様の躍動する顔をはっきりと撮影することができます」「さらに初めての人でも手振れ防止で撮った写真がぶれることはありません」「大切なチャンスを手ぶれで残念な写真になることはありません」「その上20倍の望遠ズームで遠くにいるお子さんの写真も撮ることができ」「お子様が写真を撮られていることを知らないまま写真に残すことができるので」「自然な姿を写真として残すことができるのです!」
これがドリルを売るのではなく穴を売るという顧客視点の売り方です。

どちらがお客をその気にさせるかは明らかです。
お客さんが商品を買うのは商品そのもではなく商品がもたらす便益(顧客価値)であるはずです。ターゲットに合わせた機能をメリットとして訴求する。
ターゲットとなる顧客がその商品・サービスを得ることでどのようなメリットがあるのかしっかり伝えることが大事だということです。
この「技」は、販売だけでなく商品開発、提案・説明、プレゼンなど、誰の、どのような切実な
要望に応えるかを説明し納得していただくための「技」として応用しない手はないと思います。