投稿者:工藤 三四郎

今回は硬い話です。
私たちの身の周りで起こる問題の多くは試験問題などと違いこれが正解ですと言った絶対的な答えなどないものが多いはずです。
自分の頭で考え、この答えで良いのか自問自答しながら結論を出すほかありません。
会社で解決すべき問題もほとんどはこの正解のない問いが大半と言っていいでしょう。
会社の事業活動で厄介な課題の一つはどのように長期的な利益を上げるかの戦略をつくることではないかと思います。
戦略などという言葉を使うから馴染みにくい話のように思いますが、要は長期的に業界平均を上回る業績を上げるための方策を考えることです。下品な言い方ですがどう儲けるかです。
ところが長期的に業界を上回る業績を上げるという、この抽象的な課題には絶対的な正解などあるわけではありません。
業績に影響を及ぼす様々要因や要素を総合的に眺めなながら自分の頭で繰り返し考えながら結論を出すしかありません。
諸先輩が親切に戦略を紐解くためのロジックやツールを様々用意してくれていますがこれらのフレームを活用して塗り絵のように埋めてつくらた戦略が上手くいくほど甘くはありません。
優秀なスタッフが経済合理性でロジックを積み重ねた戦略は同じ業界であればどこの会社でも使えそうな凡庸なものなってしまう可能性が高くなってしまいます。
よく知られる上場企業でさえIRで決算報告や中期計画を眺めると同業であれば実によく似ています。
戦略の本質は「違いをつくって他社を出し抜くこと」にほかなりません。
じゃどうするか、それはこれまでの経験や常識を大胆に切り捨てる覚悟が必要で過去の延長線上に解はないという前提での考える姿勢が必要ではないかと思います。
それと見る着眼点の置き方を自在に動かして見るという姿勢です。
例えフォーカスする点をズラしたり、見る位置を変えグランドレベルで見たり100m上空から見たりすることで見えるものが違います。
また、対象とする空間的や時間的な広がりを変えることで賢人の知恵や全く違う業界から学べることもあるはずです。
一般的には視点、視野、視座を変えて見るという言い方かもしれません。
このような見方をすると、業界で他社との違いをつくって成功をおさめている会社の戦略には、外部からなかなか見えない、業界では非常識と言われるような他社が考えにくい非合理性が巧みに組み込まれていることがわかります。
甘さを引き立てるために使う塩のような役割と考えてもいいでしょう。
例えば、アイリスオーヤマ、スタバ、QBハウス、今治タオルなど巧みな戦略で成功している会社がありますが、どこにその見えにくい非合理性の要素が隠されているかみなさん少し考えてみて下さい。
このように成功する戦略をつくることはけっこう厄介で、それを実行するのはもっと大変です。
そんな厄介な戦略をつくれるのは誰かと言えば、それは社長だけだと断言します。(私見)戦略は社長の意思です。
戦略を考えない社長は役割を放棄していると言われてもしかたがないでしょう。
高いお金をもらう理由がここにあります。
ちょと大袈裟な話になりましたが、戦略は規模・組織の大小に関わらず重要な機能であるはずです。
業界常識や成功体験を一旦忘れ、現状をこれまでの見方を少しだけ変えて自社の置かれた状況を見つめるだけでも良い方向に向かう契機になると思うのですが。
ところが残念なことに地域企業の経営者は戦略という言葉にアレルギーや胡散臭さを感じている方が多いように思います。なぜでしょうか?
個人においても複雑、不透明な時代に埋もれることなく他者との違いをつくって、自分だけの価値を、どの土俵で勝負をするか戦略的に考えることは意味のあることのような気がします。今の時代、若い方に伝えたいメッセージのひとつです。