投稿者:工藤 三四郎

6月26日の河北新報でスイスの国際経営開発研究所が発表した世界競争力ランキングで日本の競争力が38位となり、3年連続で最低を更新という記事が掲載され、目にされた方もおられると思います。
このランキングは経済実績、政府の効率性、ビジネスの効率性、インフラの4分野で競争力を総合的に評価しているようですが、具体的な評価内容については説明がありませんので私もよくはわかりません。
2年ほど前には日本の生産性が先進国(OECD)32カ国中28位と報じられたことを考え合わせれば、日本の世界における存在感が徐々に失いつつあることは間違いなさそうです。
最近は円安の影響もあって「安い日本!」などと揶揄され外国人観光客がいたる所で日本最高!などと叫んでいる姿を見ると、最近の日本の置かれた現状に複雑な思いをするのは私だけではないでしょう。
こうなった背景には、日本の国力(経済力)の相対的な低下が主な理由と思います。30年ほど前は日本の家電・半導体メーカーやトヨタ、本田といった企業が高い生産性と品質で世界市場を席巻し、欧米企業がその秘密を解き明かすべく日本企業の研究に走った時代が夢のようです。
過去の成功体験からなかなか抜けきれず昔は良かったなどと懐古している場合ではなさそうです。デジタル化とネットワーク技術の進展によって企業の競争基盤が大きく変化し、これまで強みであった技術・ノウハウ、管理技術といった蓄積があまり意味をなさなくなったことや日本企業の保守的な経営姿勢が地盤沈下の要因ではないでしょうか。
皆さんご存知の通り、時価総額が大きな会社は、マイクロソフト、テスラ、アップル、アマゾン、メタといった会社でアメリカをルーツとする会社です。時価総額では太刀打ちできませんが同じ匂いのする国内企業としてソフトバンクを上げることができそうです。
ここに上げた会社に共通するのはなんだと思いますか?
創業者がゼロから巨大企業に育て上げ、現在も経営しているか、経営者が変わっても創業者が依然その存在感を示している会社です。歴史と伝統を持つ会社ではありません。
それと創業者が並外れたリスクティカー(リスク選好者)であるということです。
この2つの点を考えればこれらの企業の成功要因は割と簡単に説明できるように思います。
リスクをとって大胆に新しい事業に挑戦できる。このような意思決定は創業経営者しかできないからです。重要な意思決定に際して経営権を握りその他多くの株主の意見に耳を傾ける必要がないため、自分が思ったように事業展開ができる。社内稟議も不要なことからここぞという機会を逃すことなくスピード感ある行動ができる。つまり、「攻めの経営」ができることにあるのではないかと思います。
歴史と伝統のある会社のトップの多くはサラリーマン社長ではないかと思います。
一般的にはサラリーマン社長は、ガバナンスに配慮し、大きなリスクを回避し平穏無事の任期を全うしようとする傾向が強いように思います。つまり「守りの経営」です。
だからといってサラリーマン社長を否定しているわけではなく、未来を見据え攻めの経営ができる経営者であれば、サラリーマン出身でも問題ないと思います。現にそのような立派な会社はあります。
日本の企業を変えていくためには、これまでの価値観や常識に捉われない新しい発想と感性を持ちリスクを恐れることなく行動できる経営者へのバトンタッチと新しいタイプの起業家の登場ではないかと思います。
幸い日本にも若くて優秀な起業家も出てきていますし、その人達を支援する環境も整いつつあるようですので期待したいと思います。
古い体質から抜け出せないのは企業だけでなく政治の世界も同じようで、相変わらず地盤・看板・カバンと世襲が幅をきかし、自らの利権にすがる古い体質の政治家の姿勢からは国民が納得できる政治を期待するのは難しそうです。今の政治家の顔ぶれを眺め、誰がどの政党が主導権を握っても大して変わりそうにないのがいかにも残念です。
そんな中、新しいタイプの政治家が東京都知事戦に出馬し脚光をあびているようです。
一部のコミュニティでざわついているので、私もユーチューブで選挙演説、討論会を観ましたが、この方のコミュニケーション能力が驚くほど高いのに驚きました。論理と感情表現のバランスはとてもいいように思います。演説会場にはこの候補者の話を聴くために大勢の人が集まっているようです。確かに新しいタイプの政治家のように思いました。
マスコミでは小池さんと蓮舫さんの2強対決と報じているようですが、投票率が上がればもしかすれば山が動くかもしれません。小池さんの壁を破ることはできなくても蓮舫さんには勝てるかもしれません。この方は石丸伸二さんです。皆さんも注目してみて下さい。